水稲の高温障害 |
気象庁から発表された3ヶ月予報では、全国的に気温高めの予測。そこで、白未熟粒*について農林水産省がまとめたレポートを抜粋・要約して紹介します。
※白未熟粒(乳白粒・心白粒・腹白未熟粒・背白粒・基部未熟粒など)
<白未熟粒の発生メカニズム>
ここで言う白未熟粒は、胚乳の一部が白濁して見える米粒のことです。米粒が白く見えるのは、胚乳細胞の肥大過程でデンプンの蓄積が不完全になり、光の乱反射が生じるためです。
デンプンの蓄積が不完全になる理由として、
①高温によって呼吸量が増大しデンプンの消費量が多くなる
②細胞が肥大し過ぎてしまいデンプンの供給量が追いつかなくなる
③デンプン合成に関する酵素活性のピーク時期・組織の老化などが考えられます。
そして白濁部位の違いについては、デンプン蓄積の異常があった時期の違いが考えられ、「乳白粒」については登熟初中期に、「背白粒」および「基部未熟粒」については登熟後期に異常があったと考えられます。
また、低窒素状態、水分ストレス、フェーンや風などによっても発生が助長されることが解かっていますが、これらについては発生メカニズムが未だ解明されていません。
各都道府県からの調査報告
<発生原因>
①出穂後(20日間)の平均気温が26~27℃(最低気温24℃)を超える
②生育後半の肥料切れによる稲体の活力低下
③高温によって初期生育が旺盛になり、籾数が過多になる
④台風通過後のフェーン現象や水分ストレス
⑤土壌の浅耕化や高温による根の活力低下
⑥登熟期間の短縮
<発生を助長する要因>
①田植え時期の早まり、出穂・登熟期が高温に遭遇しやすい
②追肥や中干しが適正におこなわれないため籾数が適正に制御できない
③食味に配慮して施肥量を抑制するため、生育後半に稲体の活力が低下する
④早期落水による稲体の活力低下
⑤地力の低下による稲体の活力低下
⑥全量基肥施用の普及
<対策>
①田植えの遅植え
②登熟期の早期落水の防止
③追肥や中干しなどの調整による、茎数・籾数の制御
④出穂期・登熟期の間断灌漑やかけ流し
以上がレポートに書かれていたものを抜粋し要約したものです。
※レポートの内容が専門的であったため、私なりに分かりやすくまとめたつもりです。解釈の間違いがないように注意していますが、ご不明な点等ございましたら水稲高温障害の克服に向けて(高温障害対策レポート)をご覧下さい。