今年の抑制作・秋作は、高温と曇天を繰り返す天候が続き、加えて大きな台風が上陸する作となりました。そのため、害虫・病気の発生、作物の生育不良が多く見られました。
◇コナジラミが媒介するトマトの黄化葉巻病(熊本県)

千葉県・茨城県・愛知県・熊本県などのトマトの産地で大きな被害がありました。写真は耐病性品種であるため症状が軽く見えますが・・・
◇生育初期に発生したキャベツの黒腐病と黒斑細菌病(茨城県)


写真(上)は葉に罹病した黒腐病ですが、茎の内部に侵入する黒腐病も茨城県・千葉県で多く発生していました。これは、台風により茎に傷がつき、そこから細菌の侵入があったためと考えられます。台風後の対策が大切であることをあらためて感じました。
◇ミニトマトのネコブセンチュウ(茨城県)


臭化メチル全廃の影響などにより、年々被害が拡大している地域に呼ばれて撮影したものです。接ぎ木をしているミニトマトは、しおれなどの症状が見えず、良好な生育をしていました。センチュウ対策として殺センチュウだけではなく、発根や樹勢維持が有効であることをあらためて実感。。
◇イチゴの萎黄病(千葉県)とランナーから侵入したイチゴの炭そ病(佐賀県)


昨年に比べ炭そ病の被害は少なく感じましたが、今年は萎黄病の被害が多く見られました。夏場の天候が高温と曇天の繰り返しであったため、育苗期の管理が難しく多発したと考えられます。萎黄病・炭そ病ともに育苗期の管理は重要です。
◇イチゴの芽無し症状(茨城県)

育苗~定植の天候が不安定(高温・曇天・大雨)であったため、管理が難しくチッソ切れを起こしたことが原因と考えられます。とちおとめに多く見られました。
◇台風の雨によって葉に穴が空いたハクサイ(茨城県)

初め見た時には、ヨトウムシなどによる食害痕だと思っていたのですが、定植初期の柔らかい葉に大粒の雨が風の勢いで威力を増し、写真の様な穴を空けたものです。
◇大雨によりハウス内が浸水したイチゴ(愛知県)

白く見える葉は、光の反射によるものではなく泥水で汚れた跡です。この地域では、ハウス内に大人の腰~胸近くまで浸水したようです。撮影した時には、その被害をあまり感じさせない生育をしていました。後々に悪影響が出なければ良いのですが。
上記以外にも、定植間もないキャベツの苗が台風で飛ばされ欠株したり、害虫も多発していました。この作は野菜類の値段が物語っていたように、上記した影響などにより収穫量が少ない作柄となっています。