暑い日が続いています。その影響もありアグリボ相談室には、しおれについての相談が多くよせられています。しおれと言っても原因は様々なので、お客様それぞれの状況をお聞きして対応させてもらっています。もちろん中には、手の施しようのない状態のものもあります。
今回、紹介する試験はヤワラのしおれ軽減効果についてです。試験内容は、ヤワラを散布して育てたきゅうりをしおれが出るような環境に置き、しおれ度合い、しおれからの回復スピード等を調査したものです。
<ヤワラのきゅうりしおれ軽減効果試験>
□試験概要
きゅうり(12~14葉期)にヤワラを5日おきに3回散布。最終散布終了7日後に、直射日光の当たる場所に置き、しおれの発生するような環境にする。
その後、しおれ度合いやしおれからの回復スピード等を調査する。
□試験区
①ヤワラ500倍区
②多糖類区
③硝酸カルシウム区(窒素成分100ppm)
④無処理区
*多糖類、硝酸カルシウムはともにヤワラに含まれる成分
□試験結果
1.萎れに対する耐性
ヤワラ500倍>多糖類>無処理>硝酸カルシウム
(葉の萎れ具合、茎頂・つる先の垂れ具合等の継時的変化から総合判断した)
2.萎れからの回復力
ヤワラ500倍>多糖類≫無処理>硝酸カルシウム
(葉の再展開度・水平度・茎頂の位置の戻り具合から判断した)
*下記に画像あり
□しおれ度合い、しおれからの回復に関する結論
ヤワラ500倍の3回散布(5日おき)で、高温・強日照条件下でのきゅうりのしおれに、優れた耐性、しおれからの回復が認められた。これはヤワラに含まれる多糖類の組織・細胞の保護作用によるものと考えられる。
□今回の試験で気になったこと(窒素過剰)
1.硝酸カルシウムの3回散布では、しおれに対する耐性および回復力は無処理区よりも劣る傾向だった。原因としては窒素過剰と継続的なしおれが相乗的に働き、組織が軟弱化した可能性が考えられる。また、葉数・茎葉重・根張りは増すが、果実の肥大・品質は劣り、過度のしおれによる窒素の過剰障害と考えられる。
2.ヤワラの施用で、しおれを軽減し果実の肥大・品質確保が可能となるが、多糖類施用区(窒素成分なし)の方が品質的には優れる傾向がある。ヤワラの500倍希釈液の3回連続散布では窒素投下量が少し高い可能性が考えられる。
これらのこと(窒素の過剰吸収)をふまえると、ヤワラの希釈倍数は700~1000倍が妥当と考えられる。
<しおれ対策としてヤワラを使用する場合>
700~1000倍で3回の連続散布が効果的
□まとめ
ヤワラの散布で全てを解決できるわけではありませんが、しおれ軽減対策のひとつとしておすすめできると思います。
ヤワラはカルシウム補給を含め、様々な効果が期待できる商品です。しおれ軽減効果も、そのひとつとして考えていただければと思います。
ヤワラの多機能な効果を期待する場合は、1000倍希釈で7~10日おきの定期散布をおすすめしています。
□しおれについてのワンポイント
しおれの原因は様々ですが、樹の疲れによるしおれは初期生育が大切になります。初期の活着や発根が不十分だと、樹に負担がかかってくる時期には、しおれが出やすくなってしまいます。初期の活着、初期の発根を促すにはアグリボ EXが最も効果的です。弊社では、アグリボEX定植前灌注や定植時のどぶ浸けをおすすめしています。
これら作業が難しい場合は、定植後の根回しの水などに森羅を2000倍で希釈し潅水する方法もあります。
初期生育時の使用は、使用量も少なく効果的ですので、ぜひお試しください。
□試験結果画像
左からヤワラ500倍区・多糖類区・硝酸カルシウム区・無処理区10時09分撮影
10時に温室から移動。ヤワラ区以外しおれ始めている
11時40分撮影
硝酸カルシウム区、無処理区は生長点付近にしおれがみえる。
13時01分撮影
多糖類区もしおれ始める。
13時48分撮影
ヤワラ区もしおれ始める。
16時30分撮影
ヤワラ区もしおれる。撮影直後に潅水。
16時46分撮影
潅水15分後にはヤワラ区はしおれから回復し始める。
17時00分撮影
ヤワラ区は下位葉を除いて、葉が水平となりほぼ復活。(硝酸カルシウム区の回復が異常に遅い)
しおれ、回復の比較
上/16時30分撮影(潅水前)
下/17時16分撮影(潅水75分後)